道外れの人生(改)

【店で出会った月100万稼ぐ高校生スロッター】
私がよく好んで打っていたネオプラネットは

設定6の機械割が120％を超えるストック機で

スープラの後継機ということもあって

秀逸なリーチ目で好きだった台。

その兄弟機ということでデビューした

マジパルだったが、正直この機種は

あまり好きではなかった。


とは言え、ハイエナが何もない時の暇つぶしとして

ゾーン狙いで打っていた記憶がある。
※161G～288Gと289G～544G。

それが田舎の郊外にあったP店。




ここは一時期ポルカノで世話になった店で

ライバルが少なく、ハイエナに向いていたので

ストック機が登場してからはちょくちょく足を運んでいた。
1999年パチスロ！大花火の影に隠れた名機『ポルカノ2』の思い出。


で、P店はこの頃になると年配客が増え

昼にもなるとハイエナできる台がゴロゴロしていた。

海一番や爆裂王、キンパル、巨人の星など

店内を一周すればそれらのうちのハマリ台が

空く。

それを消化して何もない時はマジパルの

ゾーン狙いをして時間を潰す。

その繰り返しで日当4万以上になっていた。


そういう感じでP店はまさにハイエナの宝庫と

なっていたのだが、そのうち若い男が

現れるようになる。

見た目はどう考えても高校生なのだが

打ち慣れているようで、私と同じように

ハイエナである。


「ここ以外行かないの？」


ある日、ネオマジックパルサーを

打っていた彼に話し掛ける私。

特に邪魔だからという考えはない。

よくハイエナのライバル同士が

争うなんてことを耳にすることがあるし

私も爆裂AT機全盛などは設定6をツモるために

必死だったこともあるのでわからなくもないが

特に今の時代にすることではないし

当時もその彼にイチャモンを付けようなどとは

思っていなかった。


「家から近いのでここと〇店くらいしか
来れないんです」


私の問いにそう答えた彼は、最近もう片方の

ネグラの店の設定状況がダメになり

P店でハイエナしているという。


ちょうど使えるテコが一人欲しかった私は

彼を誘ったのだが、断られた。

聞くとやはり高校生ということで

あまり派手に稼働できないという理由と

収支を聞けば月に100万稼ぐような男で

テコなどやっている意味がなかったのだろう。


とは言え、それからはちょくちょく話すようになり

他店のイベントに彼を連れて行ったり

するようになった。

そして打ち終わると彼を夜の店に連れて行き

大人の遊びを教える私。




卒業後は専門学校に行くと言っていたはずの彼は

私の安易な勧めもあってか、そのまま

スロプロになっていた。

彼は私と行動を共にして、破滅への道を

歩むことになったのである。


・・・その後2004年夏頃になると、P店では

時間潰しのマジパルが撤去され、代わりに

榎本加奈子が導入された。

レギュラー後のハイエナが強力だったこの台も

よくP店では拾っていたのだが、彼はこの機種が

導入されるかどうかの頃から次第にP店どころか

パチ屋自体に顔を出さなくなっていた。

連絡も最初のうちは返ってきたが

それも数か月経つと音信不通。


・・・原因は飲み屋だった。

私が連れて行った某飲み屋の女にハマり

金を全て使い果たしてしまったようなのだ。

彼が指名していた嬢の話では、一か月くらい前まで

毎週来ていたが、急に来なくなった

とのことで、おそらくそうなのだろう。

私がスロプロに誘い、若いうちから夜遊びを

覚えさせてしまったことを後悔したが

過ぎたことは仕方ない。


・・・それからさらに数か月後。


「理容師見習いとして働くことになりました」


彼から突然届いたメール。

元々美容師の専門学校に通うはずだった彼を

今更引き留めることはできなかった。

また金が貯まったらそっちの世界に

戻りますと言われて以来15年。

彼からの連絡は無い。


・・・きっと彼は思っているだろう。

スロプロにならないで本当に良かったと。