道外れの人生(改)

【シオラーの島で知らない女に金を貸す男】
皆さんはパチンコ屋で見ず知らずの他人に

お金を貸してくれと頼まれたことは

あろうだろうか？


私はそういったことが過去に何度かあるのだが

当然そのほとんどを断ってきた。

ただ、その中には貸したこともある人物も居る。


そこで今回はシオラーの島でとある女性に

金を貸した時のことについて話をしよう。


・・・2002年夏頃。

当時私はとあるパチンコ屋で

札台狙いをしていた。




住宅街でひっそりと営業していたB店は

昔ながらの小さなパチンコ屋で

客の数もまばら。

特に平日の昼間は客が数える程度しか

いないような店だったのだが

ここは普段から朝一からのサービスとして

高設定確定札があったのだ。


それを狙ってよくディスクアップの

高設定をツモっていたわけだが

ある日、新台入れ替えでシオラーが

一島導入された。

シオラーは既にデビューしてから

数か月経っており、しかも大して人気が

あったわけではないのに一島導入ときた。

これはどう考えても裏モノだろう

という予想が立つわけだが、これが見事に

裏モノでリプ連バージョン。

このバージョンはシオサイでも有名だった

リプチカバージョンと似ており

状態中はリプレイが連続した後、高確率で

ハイビスカスが点灯するというもの。
※リプチカバージョンはリプレイ単体の
後でも光る。

基本的に前兆はリプレイ3連がメインとなるが

間にハズレを挟んで当たることもある。


◎シオラーの裏モノ
リプチカバージョン

リプ連バージョン

チェリーバージョン

モード移行バージョン

29Gバージョン

32Gバージョン

77Gバージョン

ゴッドバージョン


・・・シオラーはリプ連バージョンの他に

多くの亜種が存在しており、ハウスモノなども

含めると非常に数が多い。


私が一時期打っていたB店のシオラーは

個人的に好きだったリプ連バージョンで

しかもリセットモーニング付きだったので

朝一がとにかくオイシイ。

朝一の立ち回りとしては1000円で

カニ歩きして、運が良ければリプ連から

状態ゲットできる。


B店は毎日モーニングがあったが

客は常連のチンピラ風のおっさん二人と

如何にも飲み屋で働いてます風の

香水の匂いがキツイ金髪女だけ。


なので毎日シオラーのリセットを頂いてから

札台を打つというのが日課だったのだが

事件はB店でシオラーを狙い始めて

3日くらいで起こった。


私がいつものように朝からシオラーの

リセットをカニ歩いて何台目かでヒット。

これが初当たりも上乗せしまくりなのか

ガルフ並みのモノホン状態をぶちかまし

ハイビスカス光りっぱなしの一撃8000枚の

大連チャン。

ビッグ終了後、リプレイが揃えばイコール

連チャン確定状態だったので、それはもう

最高に楽しいひと時だった。




「めっちゃ出てますよねえ～」


そう言っていきなり話しかけてきたのは

例の金髪女。

たまたまですよ、と軽く謙遜して

消化していたのだが、彼女は何を思ったか

隣に座って、打つわけでもなく私の台を

じっと見ている。

そこでチラっと横を見ると女と視線が合う。

すると彼女は・・・


「月末に絶対返すからお金貸してくれませんか？」


（出た・・・）


私は見た目からして人が良さそうだとは

思えないのだが、こういうことが過去に

何度かあるのだ。

もちろんだからといって赤の他人になど

金を貸したこともないし、貸す気もない。




・・・と思っていたのだが、私は

彼女に淡いを期待してしまい

貸してしまったのである。
※顔は少しヤンキーみたいな感じだったが
美人だったし、連絡先を交換する口実でもある。

ちょうど爆連していたのもあり、私は財布から

2万を取り出すと彼女に手渡し、お互いの

連絡先を交換。


「ありがとう～絶対返すからね！」


私もその時は勝っていたし、特に

金に困っていたわけではないので

余裕できたら返して、なんて調子に乗って

言ってしまった。


・・・で、結局この日は彼女に金を

貸したと同時に状態も終わり、そのまま

コインを流して帰宅。

ただ、やはり翌日はいつも来ていた彼女が

B店に現れることはなかった。

おそらく今後B店彼女が現れることも

ないだろうし、電話してもどうせ出ないだろうと

思っていたので特に気にしてはいなかった。


・・・が、数日後の夜、突然携帯が鳴ったと

思ったら彼女からだった。


「都合できたから返せるんだけど
できたらB店まで来てくれないかな？」


（シオラーで大勝ちでもしたか）


どうせ暇だったし、金を返してもらう

ついでに飯でも誘ってみるとか思い

私は浮かれ気分で閉店前のB店に向かった。


・・・すると彼女が店の外で携帯を弄りながら

待っているのが見える。

私は下心だらけのだらしない顔で

彼女の横に横付けしようと思ったその時。

店から出てきた彼氏と思われる

190センチ以上は軽くあるであろう

馬鹿でかい屈強なチンピラ風の男が登場。

しかも黒いジャケットに黒いサングラスを掛け

ヒトラーのようなちょび髭野郎である。




漫画のような展開に死を覚悟した私は

そのまま彼女の前を猛スピードで通り過ぎた。

その時、彼女が私に気付いたのかはわからない。

その後何度も着信があったのだが

私が折り返すことはなかった。


・・・それからさらに数日後。

この前は行けなかったという言い訳をしようと

彼女に電話を掛けてみると・・・


（プルル・・・プープープー）


案の定音信不通になっていた。

そしてそれ以来B店に彼女が現れることは

二度となかったのである。