道外れの人生(改)

■ペナルティゴッドを引いたスロプロの末路
今でも人気の高いゴッドシリーズだが

初代も1000円辺りのコイン持ちは約20Gと

極悪。

前述の通り、モードによってGG確率が異なり

移行率に設定差はあるものの、設定6でも

地獄モードに転落すれば10万負けも珍しくないし

何よりも獣王などの他のAT機に比べて

設定が分かりにくいという理由で避けていた私。


ただ、知り合いのTというプロから明日M店に

ゴッドが新台で入ったから打ちに行こうと

連絡が来たのは2002年夏のこと。




M店は郊外に位置する小さめのパチンコ屋で

朝は一斉入場、裏モノも設置されており

ヤクザも居て、皆、掛け持ち、割込み、追い抜きは

日常茶飯事。

一時期そんなM店の常連だった私も

同じようなことをしていたが、誰も注意するような

人間は居なかった。

それも当然だろう。

何故なら皆がそうしていたからである。


・・・で、新台のゴッドだが、実は知り合いのTに

誘われる数日前に既に導入されていたのだが

やはり出玉を見る限り非常に荒いマシンで

中には5万枚を超える爆裂台もあったのだが

酷いものは終日天井GGのみなんて台もあった。

そのため正直乗り気ではなかったし

朝はハナハナのモーニング狙いの方が

断然オイシかったのだが

Tに並んで打とうと誘われたため、たまには

遊びで楽しもうかなんて思ったわけだ。


で、当日の朝。

小一時間ほど並び、無事に二人共台確保。

どうせダメならすぐに獣王の高確狙いでもしようと

思いながら勝負開始。

ゴッドの台数は全部で10台くらいだったと思うが

数台が朝一からパキンパキンと鳴りまくり

速攻で当たって連チャンしている台がある。

朝一の天国モードスタートだろう。

今の凱旋などと違ってコイツの天国モードの

爆発力は伊達ではない。

羨ましいなと思いつつも、私も天国モードでは

ないものの、通常モードでGGを引いたり

赤7を引いたりと、設定も悪くはない感じで遊べていた。


Tはゴッドの新装初日から既にウン十万負けている

とのことだったが、この日も朝から天井一直線。

普段のTならば設定が無いと言ってヤメているはずだが

そもそも設定狙いでゴッドに座っている時点で

もはや普通ではなかった。


・・・そして昼過ぎ。

私は無難に出ていたと思うが、そんな中、黙々と投資する

Tの台で事件が起こる。


T「おわぁ！！！」




T「やっちゃったよ・・・」


一瞬これを見て何が起こっているのか

分からなかったが、5号機のAT機と同様に

当時のAT機も通常時に変則押しすると

ペナルティが発生する。
※ゴッドは5G間無抽選？

しかもゴッドの場合、ハサミ打ちもNG。

つまり常に順押しで消化しなければならず

こうしてペナルティをしてしまう者は

結構多かったのだ。


・・・真っ青になるT。

それも当然だ。

一撃5000枚のプレミア役がただの

15枚の払い出しで終わったのだ。


©ユニバーサル


ミリオンゴッドと呼ぶ価値もない今の

1500枚しか出ないゴッドとは訳が違うのだ。


で、既に10万以上の投資をしていたTは

その後も無言で投資し続ける。

私は彼に何度かコーヒーをご馳走し

ヤメるように忠告していたが、中毒者が

耳を傾けることはなく、もはやサンドに金を

突っ込む機械と化していた。


・・・結局私はその後地獄モードに転落しただろう

ということで他の機種に台移動したのだが

夕方頃、Tが私の元にやってきた。


T「20万負けたわ・・・」


そう私に一言告げると、その後も裏ハナハナで未練打ちし

さらに負債を増やしたであろうTは、私が帰る頃には

何も言わずに店から姿を消していた。


・・・それ以降連絡も取れず、消息を絶っていた

Tだが、数か月後、久しぶりに連絡が来た。


T「仕事することになったよ」


ペナルティゴッドをやらかして20万負けた

あの日以降も、他店でゴッドを打ち続け

一か月で100万以上負けてしまい

一時は首を吊ろうと思ったようだが

当時付き合っていた彼女に諭されて

スロプロを引退したという。


ちなみに現在はその彼女と結婚をして

子供と三人で幸せな家庭を築いているのだから

Tはまさにペナルティゴッドで死にかけると同時に

ゴッドに救われたのである。


・・・4号機時代、変に勝ち続けたばっかりに

今もこの腐った業界にしがみついている私と

ゴッドで一財産を失い、それをきっかけに

スロプロから足を洗って真っ当な生活を始めたT。

どちらが不幸かは誰が見ても明らかである。