道外れの人生(改)

「まどマギの設定6を2万円で買いませんか？」


大方目押しか何かの頼み事だろうと思っていただけに

この返しには開いた口が塞がらなかった。

パチ屋での設定売買はそこまで珍しいことではないが

相手が若い女性であることに驚いたのだ。


（まどマギって何のまどマギだ？）


私がシリーズは何かと答えると一番新しい

『新まどか』だという。

にわかには信じがたい話。

それも当然だ。

何せボッタクリ店だと認識している店で

新まどで設定6が確定した台を売ってくれる

というのだ。

特にイベントでも何でもない平常営業だ。

時間は昼過ぎだし、2万を払っても

そこから終日打てば2000枚ほど出る計算になるが

証拠は無い。
※確定画面は出たとのこと。


©Magica Quartet／Aniplex・Madoka Movie Project
[Music]Licensed by Aniplex Inc.Licensed by SACRA MUSIC
©ミズホ


実際にその台の当たり履歴を見たのだが

見れる範囲では鬼門である400のゾーンは

一度も超えていない。

ただし、設定差の大きいとされるゾーンでの当たりも

無い。

何せ昼過ぎだったこともあり、サンプルが少ないので

履歴だけでは判断はできないが、もし

本当だったとしても、夜まで打って2万を手にするか

ハイエナで多少の期待値を稼いで帰るか

どちらが良いかを考えた時に冷静に

私の中で下した決断は断ることだった。


「予定があるんでヤメときます」


他人の言うことを信じるとロクなことがない。

ましてや場所が悪の巣窟であるパチンコ屋だ。

相手が推定30代前半の綺麗な女性だったこともあり

その台を買って、出たら焼肉でもご馳走しますと言って

連絡先を交換するのも一つの手だったが

パチ屋での出会いは過去の経験上ロクなことが

ないので、そうお断りしたのである。

それにしても私はよくパチンコ屋で他人に

こういった金銭的な内容や目押しの頼み事で

話掛けられることが多い。

騙しやすそうな顔をしているのか。

お人好しな顔をしているのか。


・・・結局その後、彼女は渋々設定6らしきまどかを

打ち続けていたのだが、私は打てる台が

なかったため、他店へ移動。

夜になり、再びその店に戻ると、彼女の台は

打ち手が爺さんに代わっており、ドル箱3箱カチ盛り。

この爺さんが彼女から台を2万で買ったのか

それとも彼女がヤメた後に座っただけなのか

仕様も分かっていなさそうな爺さんだっただけに

おそらく答えは後者だろう。




彼女が言っていたのは本当だったのか。

それからというもの、その店では頻繁に

まどかの島を入念にチェックしたり、実際に

打ったりもしているのだが、未だに設定6らしき台は

見当たらない。

彼女はやはり嘘を付いていたのか、それとも

たまたまその日だけ設定6を使っていたのか。

その後彼女をその店で見掛けることはなかった。


・・・いずれにせよジジイは楽して5000枚。

信じる者は救われるだ馬鹿野郎。