道外れの人生(改)

■ジャグラー依存症の女に狙い台を取られる
既に某店に通って1か月が経っていたが

ジャグラーの島には相変わらず小役を数えるような

ライバルは皆無で非常に温かったため

私は開店後に入店。


・・・が、しかし。

狙い台にその女が座っている。

いつもならば昼前くらいに来るはずなのに

その日は朝一からで、しかも私の狙い台に

ピンポイントで着席。


（うわ、まじかよ・・・）


そう思ったが、仕方ない。

私は第二候補に着席するも

設定据え置き濃厚。

続いて第三候補と第四候補で

変更確認を行うが、いずれも据え置き濃厚。


で、女の台は変更確認はできなかったものの

朝からロケットスタートをかまし、ビッグ・レギュラー

共に設定6以上の数値で推移している。


・・・やはり、狙い台が当たり（設定6）なのだろう。

私は女の台が空くかどうかハイエナをしながら

様子を見ていたのだが、全く空く気配が無い。

女はいつもなら一箱くらい出たらヤメるのに

その日は夕方になってもヤメない。

ジャグラーで初めて設定6を打って

その爆発力にとりつかれたのだろう。

さすがにこれ以上は待っても仕方ない

ということで諦めて帰宅することにした。


・・・それから一週間後。

前回は例の女に狙い台を取られてしまったので

今回は少し早めに店に到着。

開店5分前だ。

普段ならば居るはずの女は前回の特定日から

見掛けないし、大丈夫だろう。




・・・そう思っていた私が甘かった。

車から降りて店前に向かうと、またしても

女が既に先頭で並んでいる。

女は私の顔を見るなり、何か感じたのか

すぐに目をそらす。

話し掛けてみようかと二の足を踏んでいた

私だが、どうも話し掛けられたくないような

雰囲気もあったため、断念。

そしていざ開店。

やはり当然のように私の狙い台に座る女。


・・・もうお気づきだとは思うが、女の台が

またしても当たりで、終了。

つい一か月ちょっと前までは虚ろな目をして

負けまくっていた女が、いつも出していた

私の動きを見て真似をすれば勝てると気付いたのか

次第に表情も明るくなっているようだった。

翌週は女が先に並んでいたものの、私の台

（二番候補）が当たりだったのだが、その次の週は

先に並んでいた彼女がまたツモ。

若い頃であればムキになって、早く並び

取らせないようにしてやるところだったが

私はそれ以降その店でジャグラーを打つことを

止めた。

間接的とは言え、自分のおかげ？で

一人のジャグラー依存症の人間が

救われると思えば、たかが110％のパチスロくらい

くれてやろうじゃないか。
※本音は並ぶのが面倒だからという理由だが。




・・・そしてそれから数か月が経って

女も大分懐が温まったところだろう。

久しぶりに特定日に打ちに行こうとするも

店のラインで閉店するとの通知が来た。

どうやらコロナによる経営苦で閉店するようだ。

さすがに閉店すると分かっていて、もう

設定6は入らないだろう。

なので、その日は昼過ぎに貯玉を下ろしに

行ったのだが、案の定女はマイジャグの島に居た。
※一箱くらい出していた。

それを横目に私は店を後にした。


・・・その後、女を他店で見掛けることはなかったが

きっとどこかのパチンコ屋でジャグラープロとして

今も生き続けているのだろう。