道外れの人生(改)

私もこのエイトマンは結構打っていたのだが

立ち回りとしては300前後の

引き戻しゾーン狙いで、その付近は

結構な頻度で引っかかるし、しかも

連チャンもするので、それにハズシを

駆使すれば、簡単に勝つことができた。


当時は怖い連中が多く居たパチ屋が多く

私はよくその中に交じって打っていたことも

あった。


そんな2000年暮れのある日の昼下がり

久しぶりに某店のエイトマンの島へ。

以前この店でエイトマンを打ったことが

あるのだが、その時と変わらず台数は

一島約40台ほどと多い。


ただ客付きは鉄火場だった以前の状況と

比べると、まばら。

これなら一日徘徊しているだけで結構な

日当を稼げるだろうと思い、ハイエナを

してみることに。


ウロウロしながら何台か消化して

ボーナス後300前後の台を見つける。

・・・が、ライターが置いてあったので

客が戻って来るか店員が回収するのを待つ。


だが、何分経っても一向に戻ってこないし

店員も放置している。

おそらく掛け持ちしている客か

前任者の負けた腹いせだろうと思い

ライターをポケットに入れて打ち始めた。


そして思惑通り1000円でビッグをゲット。

しかも連チャン開始。

で、出玉が一箱カチ盛りの2000枚近くに

なろうかというところで、肩を叩かれる。


「これいくらで当たった？」


振り返るとオールバックで頭の悪そうな

一回り上の男がタバコをふかしながら

そう訊いてきた。


「1000円ですよ」


そう言うと、怒りとも言えない不気味な表情を

浮かべ、軽くうなずきながら消えていった。

・・・おそらくライターを置いていたのは

彼だろう。

実はこの店で、前にも同じようなことがあり

面倒は御免なのでそれ以降は

来ていなかったのだ。


で、私に話しかけてきた彼はこの店の常連で

いつも怖い連中と先頭で並び、朝一の

特定サービス台（裏モノ）に座っているのは

知っていた。


彼らは何度かこのホール内で揉め事を

起こしているらしいのだが

特に私に何か言ってくるわけでは

無かったので、気にせずに打ち続けた。


で、最終的にはその台は3000枚ほどの

コインを吐き出してヤメ。

最後はポケットにしまっていた彼のライターを

イタズラ半分でそっと下皿に戻して、この日は

帰宅。
※彼はバルテックのアタナシアで
クソハマリしていた。

当然のことながら、その後二度とそのパチ屋に

近付くことはなかった。


当時、人気のあった裏モノの島は

鉄火場と言われるくらい熱気があったのだが

今思えばそれは、いくら投資しても

それだけ見返りに期待できたからである。

このエイトマンに関しては連よりも技術介入と

ハイエナで勝つような台だったので

そこまで熱くなるような客や怖い連中も

少なかったが、やはり裏モノは


『スキンヘッドがタバコをふかしながら
苦い顔で強打』


と相場が決まっている。


そんな香ばしい時代に戻りたいと思いつつも

今のパチ屋の生温い客層と雰囲気に

甘えている自分も居るのである。